「神宮……」

「……帰って」


 神宮の手が俺のを解放するなり、そう突き放された。


「俺はもう、大丈夫だから。君は部屋に帰りなよ」

「いや、でも……」

「いいから帰って!!」


 弾けるように、神宮が叫ぶ。

 神宮のそんな声を聞いたのは、初めてだ。


 何て言ったらいいのか、どうしたらいいのか。

 ……わかんねぇよ。

 なんかもう、頭ん中ぐちゃぐちゃだ。


 本当は、神宮の傍を離れたくない。

 でも、神宮はそれを望まない。

 神宮の迷惑には、なりたくない。


「……わかった。帰るよ」


 渋々立ち上がった俺は、自分の荷物を持って神宮の部屋を出て行った。


 出て行くしか、無かったんだ。