「なぁ、神宮。辛いんなら、話さなくていいけどさ。俺のこと、もうちょっとでいいから信用してくれねぇ?」


 俺は何を言われても、神宮を信じるから。

 神宮を、守るから。


「別に、お前のこと笑ったりしねぇよ? 俺なんて、喧嘩して、怒られて、呼び出しなんてしょっちゅうだぜ? お前も知ってんだろ?」


 そんな俺なんかの為に、神宮は怒ってくれたんだろ?

 俺もお前の為に何かしてやりたいんだよ!


「――俺……っ」


 俺の手を掴む力が、更に強くなる。


「……っ、小さい頃に、祖母によく怒られて……っ。庭にあった蔵に、入れられたんだ」


 言葉を詰まらせながら辛そうに言われて、聞いてるこっちまで苦しくなってくる。

 これじゃまるで、俺が苦しめてるみてぇじゃねぇかよ!


「狭くて……暗、くて……怖く、って……」

「神宮、無理して喋んなって」

「何回謝っても、出して貰えなくて……っ。ほんと、に、怖くて……。その時のこと、思い……」

「神宮! もういいよ! 聞いて悪かった! もう喋んなくていいから!!」


 俺の方が懇願するみたいに、神宮の言葉を遮った。

 それ以上、神宮に喋らせちゃダメな気がして。

 神宮が、壊れてしまうような気がして……。