蜜月 -love is blind-【BL】

 寮に着いたら、神宮は自分で歩くと言ってきた。

 2人して埃まみれだし、プライドの高いコイツのことだ、俺なんかに背負われてる姿を誰かに見られたくないんだろう。

 おぼつかない足取りの神宮の後に着いて、神宮の部屋へと向かった。

 神宮と同室のヤツは留守にしているらしく、室内は薄暗い。

 それでも、安全だと分かる場所に居ると、人心地がする。

 部屋に上がるなり、神宮が両手を床に着いた。


『大丈夫か?』

『……気が抜けただけだよ』

『荷物取ってくるから、お前は休んでろ』

『……高槻、その肩は……』


 俺が着ている白いTシャツは、両袖の部分に錆色っぽい汚れが付いている。

 今頃になって気付いたのか、神宮は申し訳なさそうな顔で俺を見ていた。


『気にすんな。汚れてるだけだから』


 本当は、物凄く痛い。

 扉に何度も打ち付けた所為で、腫れ上がっているに違いない。

 腕を動かすのが、だんだん辛くなってきた。


 神宮に心配させたくなくて、俺はすぐに踵を返した。


『すぐ戻ってくっから!』


 痛む左腕を上げて、俺は学校へと走った――