『神宮、帰ろう!』


 どうにか扉を壊したあと、俺は神宮の元へと急いだ。

 動けない神宮を抱えて一旦外に連れ出し、扉を入り口に立て掛ける。

 歪んだ扉は今にも倒れそうだったけど、そんなん知ったこっちゃねぇよ。


 神宮を背負った俺は、人目を避けるようにグラウンドの端を進む。

 グラウンドにはまだ部活やってる連中が居て、その中にアイツが居るかもしれないからだ。


『……たかつき?』


 耳元で響いた小さな声に、俺は『大丈夫か?』と返す。


『……みっともないところ見せて、ごめん』

『謝るなよ。お前に迷惑掛けたの、俺なんだから……』


 みっともないなんて、そんなこと、言うなよ。

 俺は、そんな風に思わないぜ?


『……ごめん』

『謝るなよ!!』


 思わず強く言ってしまうと、神宮の身体がビクリと揺れたのが分かった。