俺はまた神宮の頭を撫でて、扉の前に立つ。

 扉を蹴った衝撃で膝が痛むけど、もう少しで開くんだ。

 後1回でもいい。

 頼む、保ってくれ……!


 痛みに悲鳴を上げる身体の全体重を掛けて、扉を蹴り付ける。

 体勢を立て直して、もう一度体当たりした瞬間――


「うわっ!」


 壊れた扉と共に、俺は外に転がり落ちた。


「……いってぇ」


 思い切り打ち付けた肩をさすりながら立ち上がった俺は、外に出られた喜びに思わず小さくガッツポーズする。

 久し振りに吸った外の空気は、生温いけど気持ちの良いものだった。