気合いを入れ直して、俺はもう一度扉にタックルする。


「――……ッ!!」


 身体に響く痛みに、息が詰まる。

 けど、あの時の膝の痛みに比べたら、どうってことねぇよ。

 まだ、イケる。


 軽く飛び上がって両足で扉を蹴り付けると、ノブ側に隙間が出来て外の光が差し込んだ。


「……よし」


 ノブ側に狙いを定めた俺は、2回、3回、と連続して扉を蹴り続けた。


 その時――


「――高……つ、き……?」


 突然聞こえた声に、俺は勢いよく振り返る。


「神宮!」


 慌てて駆け寄って、神宮の両肩を掴む。

 薄暗くても分かる。

 神宮の目に、俺が映っている。


「もう少しで開くから、待ってろよ!」