琴夜の涙…。 今でも鮮明に覚えてるんだ。 『…けいた…行かないで…』 その声は、弱々しかった。 琴夜の涙は一筋の線を描いてシーツへと落ちていった。 琴夜、僕は、何度も見なかったことにしようと思ったんだよ。 でも、無理だった…。 琴夜、僕は琴夜の涙を初めて見た。 琴夜、ねぇ…琴夜。 僕は悲しいよ…。 僕の知らなかった過去。 僕の知らない琴夜。 ねぇ、琴夜…。 琴夜は僕と出逢う前…。 どんな恋をしていましたか…?