「兄ちゃん!これ、ありがと!」 弟の司に貸していたプリントを手渡された。 「じゃあね、兄ちゃん!」 「…うん」 司が教室の中へと戻っていく。 啓太が死んだことは司も知っている。 でも司は僕を気遣って、そのことには触れないでいてくれるんだ。 司…ありがとう。 ふと、司の隣に目をやる。 僕は自分の目を疑ったんだ。 啓太、僕は一瞬、本当に君がそこにいるのかと思ったよ。 でも、違った。 それは啓太なんかじゃない。 紛れもなく、これから僕が恋に落ちる相手。 タカ…。 ―――…君だったんだ。