「先輩を…、取らないで」 「………」 「僕が死ななければ…、先輩は僕のものだったのにっ…」 「…啓太……」 啓太の泣き叫ぶ声が、響いては消えていく。 「嫌だっ…嫌だよぉ…、先輩は僕のものだったのに…」 まるで幼い子供みたいに、啓太の泣いている姿が目に浮かんだ。 それは、まるで僕…―――。 声も容姿も、涙の意味も、すべてが僕だった。 「…啓太……」 僕は、見えない君に微笑んだ。