「雷斗との初デートだね!!」

俺は耳を疑った。

初デート?

そんな分けがない。俺と結香は今まで何回もデートしたはず。


「結香……?もしかして記憶がないのか?」


「えっ?どうして…?」


俺は病院から持って来た物の入ったカバンのなかから1冊の本を取り出した。
それは、葬式の日結香の母からもらった


結香の日記帳だった……。


俺は無言で、結香に渡した。結香は日記帳を開くと内容を読みだした。

そして目を見開いた。唖然としている。


「結香……。やっぱり記憶がないんだな……。」


俺がそう聞いたとたん結香は泣き出した。

「ご…ごめんなさい……。本当は雷斗のことも始めに見たとき分からなかったの……。

でもね?抱きしめられたとたんになんかいきなり名前が自然に浮かんだの!!」


俺はこの時、なんで名前だけいきなり浮かんだのか分からなかった──…。