神田川先生の車に乗せてもらうと先生は急に深刻な顔をした。

「雷斗くん…本当は君に外出は無理なんだ……。」


「じゃあ何で?俺に外出を許可していただいたんですか?」


神田川先生はふぅっ!!っと一息つくと話だした。

「ちょっと昔の話をしてもいいかい?」

「はい。」

なんだろう?昔の話って……。


「これはもう5年前になる──…。」

その時私は1人の少女の主治医をしていた。

その子は河野彩名(かわのあやな)ちゃんと言ってね…佐上君と同じ心臓病を抱えていたんだ。

ただ今の君と違うのは彩名ちゃんの両親に本人に病名を伝えないでほしいと言われた。