「実は渡したいものがあるの──…。」


そう言って結香の母は紙袋を差し出した。
俺は黙ってそれを受け取った。

「あの…これ…。」

「病院に帰ってから見てちょうだい…。あの子…結香の物よ……。あなたに持って居てほしいの。結香は本当にあなたといるとき幸せそうだったわ…。」

結香の母は優しい微笑みを浮かべて「じゃあ…。」と言って会場に入って行った。

俺は結香の母の優しい微笑みが重くのしかかっていた。


結香が死んでしまったのは俺のせいなのに…。