気づくと9時間がたっていた。


手術室のランプが消えた。

先生達が出て来る。


「先生っ!!あの結香は大丈夫なんですよね!?」


先生は気の毒そうな顔をして首を横にふった。


「君が佐上雷斗くんだね?」

「はい?そうですが…」


なんでこの人は俺の名前を知ってるんだ?

「彼女姫野結香さんは息絶えるまで君の名前を呼んでいたんだ。

こっちに来てくれ…。」


言われるがままに俺は手術室の中まで案内された。
そこには顔に白い布を被せた人がいた。


そして先生は白い布を取った。


俺は体中の力が抜けたように座りこんだ。


「結香……?」


そこに横たわって居たのは間違いなく結香だった。先生は涙目になった。


「すまない!!君の大切な人を救うことができなかった。」



俺の耳にはもう声は届いていなかった…。