あれから親父はよく病室に顔を出すようになった。

あの奇跡の夏から3年が経過した。

だが俺はまだちゃんとここに生きている。

「なぁ…雷斗…。」

「なんだ?」

「心臓移植しないか?そうすればこれからも生きていけるぞ?」

親父の提案に俺は首を横に振った。

「ごめん親父…。俺、母さんから生まれた時からあるこの心臓で生きて生きたいんだ。」

「そうか…。まぁ、お前ならそう言うと思ってたがな。」

親父は笑った。

俺もつられて笑った。

「それに心臓は記憶もするんだって…。

今の俺には失くしていい記憶は無いんだ。」

「それは俺もだ。」

また笑った。

今度は二人同時に…。