話がちょうど終わる頃に病院に到着した。

「神田川先生。
ありがとうございました。俺はこの10日間で前に進む力をつけることができた……。」

神田川先生は車から降りて言った。

「俺は何もしていないよ。佐上君を前に進めるようにしたのは結香さんだろ?
君には『10日間の奇跡』が起きたんだ。」

俺はうつむいた。

「まぁ…。
俺がきっかけをつくれたなら…嬉しいな。」

神田川先生はそう言って笑った。

俺はうつむくのをやめ神田川先生を真っ直ぐ見た。

神田川先生は大きな海のような人だと思った瞬間だった。