いつもどおりの朝がきた。
俺は寝起きの虚ろな目で結香の後ろ姿を見つめた。

「きゃあっ!!」

不意に結香が悲鳴を上げた。俺は寝ぼけていた頭が一気に目覚めた。

「どうした!?」

俺はすごい勢いで駆け寄った。結香は座り込んで震えている。近くには皿が奇跡的に割れずに落ちている。
「落ち着いて結香。どうした?」

結香は俺に抱きついて弱々しい声で言った。

「今ね………手が……一瞬だけど………消えたの……。」

「え……?」

俺は唐突すぎて頭が混乱した。結香はぼろぼろと泣きだした。

「やだよ……。まだ逝きたくない──…。」