加納欄の奪還 シリーズ25

大山先輩、吉井さん、苫利先輩が、慌てて駆け付け、高遠先輩を羽交い締めにした。

あたしは、鮎川さんに、助けてもらった。

「なんで連絡しない!なんで黙って連れて行かせた!!」

高遠先輩は、大山先輩に、羽交い締めにされながら、あたしに怒鳴った。

「お前がついてたんだろ!!」

高遠先輩の言葉が、胸に突き刺さる。

「なんで、逮捕しなかった!」

祥子さんの喉元に、突き付けられたナイフを、思い出した。

「欄!なんとか言え!黙ってアイツをさらわれたんだぞ!おいっ!」

「言い過ぎだぞタカッ!」

「離せよ!仁!」

「欄だって、スタンガンでやられてんじゃねぇか!」

大山先輩が、必死に高遠先輩を押さえながら、フォローを入れてくれた。

「お前なら容易く片付けられるだろうが!何か、余計な事でも考えてたんじゃねぇのか!?」

「タカ!タカッ!」

高遠先輩は、大山先輩の腕を、ブンッと強引に振りほどくと、背広をただし、足早に出て行ってしまった。

あたしは、慌てて、後を追いかけた。

「高遠先輩っ!待って下さい!」

あたしは、追いつくと高遠先輩の腕を掴み、引き止めた。

「離せ。お前に、聞くことは一切ない」

「知ってたんです!」

高遠先輩が、あたしの顔を見た。

「あいつら、私達が、刑事なの知ってて、近づいてきたんです。名前は、確か、イチとシンって呼んでました」

高遠先輩は、あたしの話しに興味をもったようで、しっかりとあたしを見た。

「他にも仲間がいます。刑事と知っていて、更に名前まで知られていました。それに、はっきりと、金で雇われただけだと言ってました」

更にあたしは続けた。

「祥子さんが、泥酔状態で、人質にとられたんです。どうすることもできませんでした。祥子さんを優先することしか、頭に入ってませんでした。もっと対処の使用があったかもしれないのに、私には、あの時、アイツラの言いなりになるしかできなかったんです。助けますから!祥子さんを、絶対、助けますから!!私の命と引き返にしてでも!絶対に!」

あたしは、高遠先輩の腕を掴みながら、体を90度折り曲げ、謝っていた。

「……すみませんでした」