加納欄の奪還 シリーズ25

あたしだって、発信機とられて危ない橋渡ってんだから、先輩達とあんまり放れたくないに決まってんじゃん!


あたしは、シラ〜っと、相手の顔を見た。

「おい。ついて来る気あるのか?それとも、本気で逃げようと考えてるのか?」

アモンが聞いてきた。


ハンッ(-.-)


ついて来る気?


なにふざけたこと、ほざいちゃってるのよ!


あんた達の、汚いやり方に、仕方なく合わせてるだけでしょ!


逃げていいなら、さっさと手を打ってるわよ!!


ボスってのが、あたしに会いたいならいいわよ!


会ってやろうじゃない!!


あたしは、アモンの問いに答えることなく、無言で歩きはじめた。

アモンは、その態度を見て、判断したようだった。

ケイは、まだ文句を言いたそうだったが、アモンに、何やら囁かれ黙ってしまった。

アモンは、あたしの横に並んで歩いた。

後ろは、相変わらずケイが歩いていた。

「ここ(下水道)詳しいの?」

返答に期待なく聞いた。

「いや、1度も使ったことはない。後にも先にも、今回で勘弁してもらいたいな」

と言うと、うっすら笑みをうかべた。


なんだ、笑えんじゃん。


あたしは、アモンが、鬼じゃないことに安心をした。

そう思ったのもつかの間、アモンは突然、あたしのミゾオチに的確に1発入れた。

あたしは、不意をつかれ、息が苦しくなり、ドサッとアモンに倒れこんだ。

「あんまり、時間かけたくないんでね」

アモンはそう言うと、あたしを軽々と担ぎ上げると、さらに奥深くへ歩みを進めて行った。