加納欄の奪還 シリーズ25

約束が!!


「欄、とにかく一緒に来てもらうわ。この信号が、変わるまでに、戻ることになってるの」


1分ナイじゃないですか!


考えてる暇はなかった。

「わかりました」

あたしは、祥子さんと一緒に、向こう側へ歩いて行った。

多分、大山先輩はじめ、各署員達は、祥子さんも戻ってしまった為、手がだせないで慌てていることだろう。

いろんな無線が、飛び交ってるはずだ。

大山先輩も、高遠先輩も、この展開は読めていないはずだし。

あたしも、この先に、何が待ち受けているのか、わからなかった。

「卑怯者」

あたしは、黒ずくめの男に向かって、悪態をついた。

「お互い様じゃないのか?ずいぶんと刑事を総動員させてるじゃないか」

男は、祥子さんから拳銃を奪うと、すぐ側に待機させてあるワンボックスカーに「乗れ」と、命令した。

祥子さんが先に乗り、あたしが次に乗ろうとした。

「お前は、最後だ」


なんでよ(-.-)


男が、先に乗り込んだ。

そして、あたしも乗り込もうとした。

「その前に、その隠そうともしない機械を取れ」

男は、はっきりとカチューシャの発信機を見つめていた。


ですって苫利先輩。


男は、あたしからカチューシャを受け取ると、ナイフを構えている男へ手渡した。

祥子さんを見ると、祥子さんは目隠しをされ、手を縛られているところだった。

祥子さんの後ろの席から、また違う男が、祥子さんの首に向かって、ナイフを構えて、こっちを見ていた。

あたしに対する脅迫だ。


だから、大人しく捕まるって言ってんじゃん(>_<)

「お前は、俺とこっちだ」

と、男が言い、足元をずらすと。

あるべき足場が無く、更にマンホールの口が開かれていた。

あたしは驚いて、男を見た。

「黙ってついて来い」

「なによ。どうしたのよ」

祥子さんは、目隠しされているため、今の状況が把握できなかった。

「静かにしろ!加納、お前は後ろだ。分かってるな」

男は、祥子さんに怒鳴り、あたしに念をおす。

あたしは、黙って頷いた。