「え?」 教室の真ん前でそう言われて、 あたしは足を止めた。 「あんな汗だくなのに汗も拭かずに話し掛けたんだ。 お前を呼び止めるのしか、 頭になかったんだろ」 将貴はそう言い残すと、 先に教室へ入っていった。 「早緒梨?」 クラスの女子に名前を呼ばれ、 我にかえる。 「あ、ごめんごめん。 何でもないから」 .