そうして手に入ったのは。小さな強さ



…弱いくらい小さめの。強さだった。






でも。今のあたしにはそれだけが救いだった。



「………………」





独りぼっちのあたしには。必要不可欠な強がり。






心の雨を外に出さないための。ヤケにもろい鍵なんだ






「……だから。壊さないで……」







この鍵に。触れないで。







ちょっと触っただけでも。簡単に壊れてしまうから。









そしたら、あたしの心は雨を溢してしまうの。








……だからね。






それを止めるために、強がりな鍵が必要なの……





「……っ…でも………」





ホントは、泣きたい







でも。泣き方がわからない。







それが嫌だから…あたしは強がる。














……ホントは


吉濱に励まして欲しい。








『大丈夫だぞ』って。


『ちゃんと向き合って』って。







けど、




居ないのでは意味がない……






あたしの隣に居ないのでは。









この願いは一生叶わない……








それからしばらくして




「………………」






一滴だけ。あたしの頬をなにかが伝った。



……それは雨なのか涙なのかは分からない。………………ただ、



あたしのこの願いは。叶わなかった。







雨が降り続く屋上で。


あたしは独り。強さを手にいれた。








「……もう。…寒いよ……」





そしてあたしは。自分の意識が朦朧としてくるのが分かった。

だから。
独りぼっち、屋上で眠りについた――