「陸君…大丈夫?」
「だいじょぶッス。神田、お願いします。」
そういえば、保健の先生居るんだった…
こんな時にもあたしの事構わないでよ…!
――ガラガラッ…。
扉の閉まる音。
吉濱の足音が遠ざかっていく。
「……っ行かないで…!」
「神田さん……」
「ごめん……!ごめんなさい…!…。」
ずいぶんと開けてしまった。あたしと吉濱の距離。
もう、きっと戻れない……。
あんなに悲しむとは思わなくて…!
あんなに、泣きそうになるほど瞳が揺れるとは思わなくて…!
「……っ吉濱…!」
「神田さん………。」
「…………っう、ぅ…!…っぐ…!!」
「よく、頑張ったわね…。」
「…………ひっく…!っ……!!」
涙が、どんどんどんどん溢れてきた。
……今思えば、吉濱だけだった。
あたしを
照らして、探して、見つめてくれたのは…。
やっぱり。吉濱が初めてだった。
けど、だからこそなの。
だからこそ。あたしはあなたを離さなければ。
「……もう。…誰も好きになんてならない…!」
「…………。」
「こんなに痛くて、苦しくて、切ないなら、…もう何も願わない…!」
「…っ…………」
抱き締めてくれる先生。
その体温は、とても優しくて、
『生きてるんだ』って思った。
この体温は、もっともっと生きていくんだなって。
…それって、凄く羨ましいよ…………?先生…。
だから、先生もこれ以上近付かないで…?


