そんなあたりまえの事。
どうして忘れていたんだろう。
「……ありがとう…。」
「え?」
小さくお礼を言った。
聞こえるわけ無いくらい小さく。
「…………。」
「神田?今なんて言った?」
「…………。」
廊下の方から声が聞こえる…。
クラスの人達が来たんだ。
「…………」
「…神田~?」
――ガラガラッ…。
あたしの予想通り、教室に人が入ってきた。
「あ!陸ー!!おはよ!」
「今日早くない!?」
来たのは二人の女子。
石田さんじゃなくて良かった…………
「あ、おはよう。」
「何ー?テンション低いよ~!」
「いんや?んなことないし!」
挨拶された吉濱はあたしから離れて二人の元へと行く。
あたしはそれを黙って見過ごした。
「昨日のTV見たー?」
「見たー!凄くない!?超カッコイイ!」
「はぁ~!?何処がいいんだよ!」
聞こえる声につい耳を立ててしまった。
どうやらバラエティーの話をしてるらしい。
その番組あたしも見た…。


