「あ?」






聞きたくもない名前を聴いて、不機嫌な声を出してしまった






ちょうど友達に掴みかかろうとした直前で、視線を上に上げる







「………久しぶり!」



「………………あぁ」







俺を呼んだのは、


コイツに連れていかれた合コンの時




『二番目でいいの』




そう言ったあの女だった







「正樹君!やっぱりかっこいい~!」



「はぁ?」



「ね。もう一度言うけど………二番目でいいから付き合って?」







また馬鹿な事言いやがって………



と思ったけど。






それよりも、正樹って言葉に嫌気がさした







「俺は陸だ。」



「ん?」



「正樹じゃねぇ。」


「嘘ね。貴方は正樹君よ」







即答してきた女に、鋭い視線を送った。




でも女はクスッと笑う。







「………やっぱり、好きな人が居るの?」



「………好きな奴…?」



「だって、あんな事言ったじゃない?。皆の前なのに………」







『本当に好きな奴しか俺は見れない。』




『好きな奴………居るのか?』



『あぁ。』








「え………………」






スーッと。その3つの言葉が頭に出てきた







そして、何処かへと全力で走ってる自分。







………俺…





どうしてこんなに走ってるんだよ?