「………吉濱…?」
「……呼んでくれよ…」
「え………」
「………名前で呼べっていってんの。」
耳元で喋るからくすぐったくて。少しピクッてなってしまう。
呼べって言われても………
今まで拒否してきたのに。今更言うのは何だか恥ずかしい。
「………吉濱…あの…」
「………お願い…」
「………………」
「俺の名前を呼んでくれよ………………」
…そう悲しく言うから。
震える声で言うから。
「………………り、り…く………。」
あたしは戸惑いながらもそう口にした
「もっと。ちゃんと。」
「………………………陸………」
「………………うん」
震える声で少し笑って。吉濱はまた黙ってしまった
………それから。何分かお互いにずっと無言。
………今の吉濱を。ほっといたら駄目だって思った
「…………ごめん……」
そして吉濱が、まだ震えている声で口を開いた
「ごめんな……?…友姫……。」
………泣いてる…の……?


