話を聞けばマスターと高遠さんは従兄弟で、年齢が離れてる割りに話が会うので昔から中が良かったらしい。

「でも、マスター」
「なんだい、夏海ちゃん」
「私、結局マスターが言ってた″気が付かないこと″が分かんないんですけど」
「ゴホッ、ゴホッ」
「高遠さん」

珈琲を飲んでいた高頭さんが急にむせたので慌てて拭くものを手渡し、背中をさすればマスターがまたニヤリと笑った。

「大丈夫ですか」
「あ、あぁ、ありがとな」

苦笑いしながらタオルを受け取る高遠さんにマスターが声をかけた。

「孝也はかわいいねぇー」
「蜜兄余計なこと言うな」
「…孝也?密兄?」

聞きなれない名前。流れ方からいって2人のことなんだという事は分かる。