猫になった僕

「うーんちょっと意味が違うけど・・・。そうだね、それは真理に近い考え方かも知れないね。まー、この辺りの、ややこしいところは、いつか、やすさんに、もっとわかりやすく説明してもらおうね。」

拓也君は、そう言った後続けて言った。

「でも、あの子は・・・あのマリって子は、よくわかってる。」

「そうだよね!マリさんはとっても優しいよね!。」

拓也君がマリさんのことをほめたみたいなので僕はとってもうれしくなった。

「ヒロ君、僕だけじゃなくてね、僕のようにお話がわからない人って、あおぞらにはたくさんいるだろう。でもね、本当はね、みんなね、みんな全部わかってるんだよ、ただわかっているけどそれを表の自分には表現できないんだ。でもね全部見ているし、聞いているし、わかっている。僕らはきっと人間の全部を見ているんだと思うよ。」

「人間の全部って?」

僕は、ちょっと怖かったけど拓也君に聞いててみた。

「良いところも悪いところもってことさ。」

拓也君がちょっと淋しそうな目で窓の方に目をやった時、窓際に寝ていた茶色のやせた猫が大きなのびをして起きあがった。

「ちいちゃん昼寝を始めたな!」

拓也君は笑いながらそう言った。

「拓也君、あの茶色の猫さんは、ちいちゃんなの?。」

「そうだよ。」