猫になった僕

「どうして僕の方が不思議なの。」

僕は何がなんだかわからなくなる前に急いで拓也君に聞いてみた。

「えーっと、そうだな、じゃあそこの、しま猫たっちゃんとお話ししてごらん。」

三毛猫拓也君は、しっぽをゆっくりと振りながら僕にそう言った。
僕は急いで、しま猫のたっちゃんの側にぴょんと跳んで、眠っているたっちゃんに挨拶をしてみた。

「たっちゃん、こんにちわ。」

『にゃあおう』

しま猫たっちゃんは、うるさいなとでも言うように、前足で顔をこすって『にゃあおう』って鳴いた。
僕はもう一度たっちゃんに挨拶してみた。

「たっちゃん、こんにちわ、ヒロだよ、僕ヒロだよ。」

しま猫たっちゃんは、『わかったよ』って言うみたいにもう一度『にゃー』って鳴くと、面倒くさそうにそっぽを向いてまた眠ってしまった。

「どうだいヒロ君、何となくわかった?。」

三毛猫拓也君がひげをピンとのばして僕に言った。

「拓也君はお話しできるのに、たっちゃんは『にゃー』っていった・・・。」

僕はもうちょっとで答えがわかりそうだったけど、まだよくわからなかった。

「ホントのたっちゃんはお話ができて、しま猫のたっちゃんはお話ができなくて・・・。」

僕がそう言うと、三毛猫拓也君が続けて言った。
「ホントの拓也はお話ができなくて、三毛猫拓也はお
話ができる。」