猫になった僕

「でもこうしてヒロ君と話が出来るとは夢にも思わなかったよ。」

三毛猫さんは、僕を励ますように明るい声でそう言った。
三毛猫さんはなんだかとってもうれしそうだ。

「君は優しい子、僕はずっと君とお話が出来たらなって思ってたんだ。」

「三毛猫さんと僕はお話をしたことがないの?。」僕は不思議に思って三毛猫さんに聞いてみた。

「そうだね君は、僕にいつも元気に挨拶をしてくれるけど、僕は君とお話をしたことがないんだ。」

三毛猫さんは少し淋しそうにそう言ったけど、そんなの変だよ、だって三毛猫さんは僕よりずっと前からあおぞらにいるんなら僕は絶対お話ししたことあるはずだもん。 だって僕はみんなと仲良しになりたいし、みんなと楽しくお話しすることが大好きなんだもの。
僕は不思議に思ったんだ、三毛猫さんはいったい誰なのって。

「ヒロ君、僕が誰かわかるかい。」

三毛猫さんは、また僕の考えていることがわかったみたいに僕に聞いた。☆

「わからないよ、三毛猫さん、だって僕はみんなとお話しするし、仲良くするんだからね。」

僕はちょっと怒ったみたいに三毛猫さんにそう言ってから、しっぽをぎゅっと立ててみた。
三毛猫さんは、そんな僕のことを細くした目で見ながら、ひげをピクピク動かしてから言った。

「ヒロ君、僕は拓也だよ。」

「!」

僕はびっくりして声が出せなかった。
銀色の耳もびっくりしてピクピク動いてくすぐったかった。