池谷陽平、18才、高校3年生。


平凡な毎日。

勉強もスポーツも人よりはできるが、
飛び抜けてできるわけではない。

告白されてなんとなく付き合った彼女とは、今月で付き合って1年2ヶ月。

今は、世間でそれなりとされている
私立大学を目指して毎日予備校に通う。


「ふあぁ」


大きなあくび、静まり返った自習室で
2、3人の目がギロッとこちらへ向いた。

謝罪の意を込めて、少しだけ頭を下げる。


あーあ、夏休みなのに。


椅子の背もたれに体重を預け、
周りを見渡した。

ほとんどが見たことのある背中。

みんな毎日毎日こんな所来て
・・・って俺もその1人か。


あー駄目だ、集中できない。

机の上に広げたノートと参考書を閉じて
かばんへしまう。