もしも未来を想えたら

「おかえり」
 父が言った。
 私は何も答えない。答えたくないわけでもないし、
答えられないわけでもない。でも、何を話せばいいのかが、わからない。

 父は何事もなかったかのように話しを進めていく。
「学校はどうだったか?」
「勉強にはついていけてるか?」
「いじめられてはいないか」

 いつも、そればかりだ。部活で疲れて帰ってきた私にいつもそう問いただす。
 答えないとわかっているのに。
 絶対に口を開かないとわかっているのに。


兄は比較的明るい。
だから父とも妹とも、よく話す。
「今日は学校で~」
愉快に話す兄・健悟が羨ましい。
妹だって、静かではあるが話すことは話す。


  話さないのは、私だけ。
  いつまでも引きずっているのは、私だけ。