グリフの背中に乗って、チェシャと共に魔女の住む北の大地へと急いだ。

『ラビーはありすを助けるために、北の魔女の所にいったんだ』

チェシャの言葉が頭の中を巡る。

『ありすを助ける方法を聞きにいったんだと思う。北の魔女は、なんでも願い事を叶えてくれるから』

暖かな陽気から一転、急に辺りが寒くなってくる。

『ただし、それにみあった対価を魔女に渡すことが条件になる』

はっはっ、と小刻みに息をする。ありすの口から漏れるその息は、次第に真っ白になっていった。

「ありす、寒くないか?」

チェシャに言われて、ありすは首を横にふる。

「大丈夫、グリフが暖かいし」

そう答えると、チェシャは少しだけ考えて、ありすの肩によじ登り、何かを呟いた。

「わっ!」

綺麗なピンクのストライプのポンチョが、ありすの体を覆った。

「これなら寒くないだろ?」

コートがチェシャの声で喋った。

「…うん、ありがと」

ありすがそう答えた時だった。

グリフが氷の大地にポツンと1件だけ建っている家の前に降りた。