「ありすには、悪い魔法がかかってる。その魔法を解くには、ありすが俺達の誰かと幸せな結婚をする事が条件なんだ」

「はぁ…」

まるでいろんな童話がごちゃ混ぜになったような気分になる。

「ありすが目覚めてから、1週間以内に結婚しないと、魔法が解けずに、ありすが死んでしまう…」

「いっ…一週間!?」

辛そうな表情のクレスト。突拍子もない話の内容で、目が点になるありす。

「というわけで、君が生きるためには、誰かと結婚しなくてはならないんだよ、ありす」

マッドが軽く言う。


…と言うか、よ?


「…魔法ってなに」

よくよく考えたら、魔法なんて非現実的なもの、存在するはずがない。

「なに、とは?」

マッドが意味がわからない、といった表情で、ありすを見つめてくる。

「なにって…だから、魔法なんて…」

あるわけがない、と言おうとした時だった。

クレストの目の前で、せっせとテーブルを拭いている布。

勝手にテーブルに追加されていくおやつたち。

「………」

絶句するありすに、にこやかにマッドが答えた。

「魔法なんて、当たり前に使うからな。わざわざ口に出して言うことも少なくなったが…今、君の目の前の光景の殆どがそうだ、と言えばいいのかな?」

マッドの言葉に、ありすは返す言葉がなかった。

ただ、心の中で大きく叫ぶ。



誰か…
嘘だと言ってぇー!!