マッドの言葉に、カップに伸ばしかけた手が止まる。

「はい?」

意味がわからずキョトンとした顔をしていると、今度はマッドがキョトンとした顔になる。

「あの、意味がよくわからなかったんだけど?」

ありすの言葉に、あぁ、とマッドは頷いた。

「結婚というのはだな、男と女が」
「いやいやいや、そうじゃなくって」


結婚の意味くらいわかってるって!


マッドの言葉を遮り、ありすはもう一度聞き直した。

「…誰が結婚するって?」

するとマッドは不思議そうに答えた。

「君だよ、ありす」

さも当然と言わんばかりの表情に、ありすは絶句する。

「なんで私がっ!?」

叫ぶありすを見て、マッドはチラリとクレストを見た。

「…君は、ありすに何も説明していないのか?」

マッドに言われて、クレストはビクッと怯えた。

「いや、その…」

口ごもるクレストの胸ぐらを掴みあげると、ありすは額に青筋を浮かべながら聞いた。

「大事な話があるならさっさとしてもらえるかしら?」

「は、はい!」

ビン!と垂れていた耳を立てらせて、クレストはありすに説明を始めた。