【K.A】Alice in a BoX

「あら?見ない顔ね」

どこからともなく、声がした。
辺りを見回してみたものの、人影らしきものはみあたらなかった。

「…?気のせい?」

首を傾げていると、近くでくすくすと笑い声が複数聞こえてきた。

が、キョロキョロと辺りをもう一度見回してみたが、やはり誰もいない。

「誰か…いるの…?」

恐る恐る声をかけてみる。

「うふふっ。ここへのお客様なんていつくらいぶりかしら」

声が聞こえてきた。
…シルクハットの庭に咲いている花から。

「えぇっ!?」

思わず花を見つめる。すると、花はゆらゆらと揺れながら、ありすに向かって話を続けた。

「あら?…ねえ、この子もしかして、アリスじゃないかしら」

「まぁ…本当だわ。でも、アリスが目覚めたなんて報告、入ってないわよ?」

「…だってあのバカ兎。まだ戻ってきていないもの」

「あ、そうだったわね」

「やっぱり役に立たないわね」

口々に囁く花達に、ありすは少し後ずさった。

「は、花が…喋った……」

ありすの言葉に、花がまた口々に話し始めた。

「あら、私達だってお喋りしたいんだもの。だから話すわ」

「いけないかしら?」

「ねぇ。言葉は誰だって使えるものよ?」