言われてみなければ気づかなかったけど、私は自分の家まで帰る道が分からない。 だから家までタクシーに乗って帰ることも出来ない。 『芦原家まで』 と言っても、確かうちの家は入り組んだ道で侵入者を阻んでいるから、はいれないだろう。 そう思うとだんだん自分が情けなくなってくる。 父親がキライだとケガラワシイといくら罵っても結局私はあの男から与えられたものがあってようやく生きていけるのだと。 そう思い知らされる。 ああ、なんて私は無力なのだろう。