「やっぱ、前に言ったこと撤回するよ。アンタは晴美に似てるけど、性格は全然違う。アンタのほうが何倍も強いと思うよ」



「・・性格が全く一緒の人なんていませんよ?」



「ごめん、苦しかった?」



やっと北島先輩は私から離れてくれた。



「ちょっとだけ」



「もう、こんな時間か・・・。送ってく」




そう言うと北島先輩は携帯と煙草をズボンのポッケに入れると立ち上がって、玄関に向かおうとした。








「・・・・北島先輩は死なないでくださいね?」



「ん?」




「『泣きたいときは思いっきし泣け』」



「・・・はい?笑」



「前見たドラマで言ってたんです。『胸は貸すから』って」




私はそのときのドラマと同じように両腕を広げた。




「・・・・」



「『恥ずかしがらずに、飛び込んでこい』っ」



「笑。すんごい棒読みなんですけど・・・、じゃぁ・・・お言葉に甘えて」




そう言って北島先輩はまた私の傍でしゃがんで、私に抱き着いてきた。




「・・・桃子はちっこいから、これじゃ胸じゃないな。笑」



『ニャーン』



アメも気づいたのだろうか?
私が呼び捨てにされたこと。



あいかわらず、北島先輩は煙草の匂いがした。



でも、今日はその苦い匂いにずっと浸っていたいと思ってしまった。