「あそこの屋上ってさ、全然人来なくない?」 今度は井ノ原恵里菜の友達、内藤さん(下の名前は忘れた)が声をかけてきた。 「うん、まぁ」 「えっ?なんで??」 「先輩から聞いたんだけど、ここの学校自殺事件多いらしいよ」 「マジぃ?!」 あからさまに人事のように二人はしゃべる。 なんの辛さも知らないくせに。 「だから一時は立入禁止になりかけたんだけど、ある男の先輩がしつこく先生に『それだけはやめてくれ』って訴えたんだって」 私は誰のことかすぐ分かった。