見惚れていたのか?
わからない。
なぜ、立ち止まってしまったのか。

ただ、爽の視線の先には1人の少女がいて。

…泣いていた。

その少女は白い小さな家の2階の窓から空を見上げていた。

同じくらいの歳だろうか。そんなことを思っているとふと少女は視線を爽の方へと向けた。

「…っ」目が合った。

たっぷり3秒は見つめあってしまっただろうか。
どちらからともなく目をそらし、少女はその頬に流れた涙をぬぐい窓から顔を引っ込めた。

少女はほんの少し、微笑んだ。ように見えた。

爽はハッとして寮へ帰ろうとまた走り出そうとして。
―雨は、止んでいた。

相変わらず青いままの空にはうっすらと虹の橋が架かっていた。