バダーーーーーン!!!
けたたましい破壊音とともに扉が破壊される。
同時にその場にはそぐわぬ、ソプラノのきれいな声が部屋に響き渡った。
「ここかしら!?《伝説の魔女》がいるのはっ!!」
いきなりの事態に一同は唖然とした表情でそちらを見る。
四人の視線を一身に浴びるなか、部屋に飛び込んできたのは亜麻色の髪を結わえた美しい女性だった。
「皇女様!一体何故こちらにっ!?」
レオドールの表情が若干ひきつっているのは気のせいではないだろう。逆にこの現場を見てひきつらない方がおかしいというものである。
皇女と呼ばれたその女性は走って乱れた髪のままギロリとレオドールを見ると美しい顔に朗らかな笑みを浮かべた。
「あら♪レオドールじゃない!んも〜イヤ〜ね、私のことは《お義姉サマ》って呼んでってあれほど言ったでしょ?」
そう言いながらバシバシと背中を叩く皇女にレオドールはあからさまに顔をひきつらせる。
そこへ騒ぎをききつけた衛兵が「何事ですか!?」と飛んできた。
レオドールが「いつものことだ」と言うと納得したのか、「失礼いたしました!」と言って彼らは去っていく。
なかなか物分かりの良い衛兵だった。
「それで?魔女様は一体どちらにいらっしゃるの?」
一通り落ち着つくと、皇女は辺りを見渡す。
すると壁側に立っていたアリーナを見つけ、瞳を輝かせ始めた。
「……まぁ…、あなたが…あのルージュの森に棲むと言われる、伝説の魔女様ですか……?」
ブルーサファイアの瞳に涙を貯めて見つめてくる皇女に、さすがのアリーナもひきぎみになる。
敬愛(?)の眼差しというのはどうも慣れていなく、彼女の瞳はまさにそれだったのだ。
「…お、初にお目にかかりますわ。アリーナ・ゼノクロスと申します」
少々言葉にヒビが入ったがアリーナはドレスの裾をつまみ優雅にお辞儀する。
しかし……、次の瞬間――
「まああ!なんたる光栄でしょう!!生きて貴女にお会いすることが叶うなんて!私は皇家一の幸せ者ですわぁぁぁ!!」
「……ぅ、…く……るし……」
何故か、皇女に首を絞め――否、抱き締められた。
