ルージュの森の魔女

キリエは三人侍女を呼ぶと四人がかりでお風呂の準備を始めた。
身支度を整えるだけなのに四人も必要なのか疑問に思ったアリーナだが、

「よいのです！美しい方のお世話をするのは私達の生き甲斐なので！」

と口を揃えて力説されたので素直に従うことにする。
湯槽にはバラのエッセンスオイルの入った湯が張られ上には取り立ての赤やピンクのバラが散りばめられている。
湯けむりとともに立ち上るバラの良い香りがアリーナの旅の疲れを癒した。


「まあ…素敵なお髪ですわ。まるでシルクのようで……」

「お肌の方も素晴らしいですわ。白くてすべすべしてて、羨ましいしいですわ〜」

侍女たちはお風呂から出てきた後もアリーナの身支度を整えながら口々に称賛した。
あれよこれよとされるがままになっているといつの間にか支度は終わり、まるでどこかの貴族令嬢のような姿になったアリーナが鏡に映る。

「いいのかしら。こんな高そうな服を着てしまって」

「心配はご無用ですわ。こちらはすべてお客様ように作られたものですので」

「それにしても本当に美しいですわ。まるでどこかのお姫様のよう……」

「私たちの腕も鳴るというものですわね」

うっとりと称賛の眼差しを向ける侍女たちにアリーナは苦笑する。
すると、いきなり扉が開いた。