「…アリーナ。お前、なかなかいい根性してるな」
まさに、『鬼』。
そう呼んでも過言ではないほど恐ろしく変形した容貌にジンはギョッと目を剥いて隣を見た。
そこには、これまた美味しそうに差し入れの特性ステーキを頬張るアリーナが……。
――そして……
「まあ、そんなカッカしてないでレオもこれ食べたら?美味しいわよ〜」
ブチブチブチ……
どこかで誰かさんの血管が切れる音が聞こえた。
「こんのバカ女がっ!!この一週間誰のせいで資金の底がついたと思ってんだ!貴様が行く先々で猛獣のように食い荒らしたからだろうが!!しかも、ヤクザと乱闘するわ宿を破壊するわ挙げ句に俺の家名まで使って金を巻き上げるわ!いくら貴様の《ボロ屋敷》を破壊したからといっても、もう我慢ならん!貴様の腹をかっさばいてどんな胃袋をしてるか確かめてやる!」
ドスの効いた声音でそう叫ぶとレオドールは鞘から銀色の長剣を抜き出した。
「ヤダ〜ン!あなたの《性癖》って悪趣味ね〜〜」
アリーナもふざけた口調で話すものの、片手に魔力を集めマジックボールを作り始める。
ヤバい……
これは非常にヤバい。
死者が出る前にこっそり抜け出さなくては……
そう思いジンは一人とんずらしようとすると、そこへ天の声が降ってきた。
