ルージュの森の魔女


「魔物に襲われ壊滅した村は帝国内だけでも30〜40に上る。そこで我々が秘密裏に調査したところ、ある組織が関係していることがわかった……」

レオドールはそこで言葉を切ると翡翠の瞳に力をこめてまっすぐアリーナの瞳を見つめる。
まるで、射ぬくようなそれに少しだけアリーナは紫紺の瞳を細めた。

「その組織の名は《ダークフィア》……。詳細はわからないが姿を表し始めたのは2〜3年前、魔物に異変が現れたのも彼らが関係しているとしか思えない…」

「その組織が魔物を操って村を襲わせていると……?」

「まだ確定したわけではないがその可能性が高い。村が襲われる数日前にその付近で彼らの特徴である黒いマント姿の者たちを見たという者がいるからな。また、その村から微かだか妖媚薬と思われる薬の匂いがした……」

その言葉に今度こそアリーナ眉間にシワを寄せ感情を露にした。

「妖媚薬ですって?あれは100年前に使用を禁止されたはずなのに……」

100年前、ある魔術師が魔物を操ることができるという危険な薬を発明した。妖媚薬と名のつけられたそれは帝国を乗っ取ろうとした輩の手に渡り、瞬く間に人と魔物を巻き込んだ大戦争に発展したのである。争いは帝国軍の勝利により終結したが、その後の厳しい取り締まりにより、妖媚薬を開発した関係者や取引をしていた者はすべて処刑され、薬や製薬書は一つ残らず燃やされた。
多くの犠牲を出したその薬はもうこの世界には存在しないはずである。
しかし、それが今回の事件に関係しているとなると、全てのことにおいて納得できた。