私が仕方なく三ノ宮くんの条件を
のむと、先程の不機嫌さが嘘の
ように笑顔を取り戻した。

お互いの最寄の駅は同じだったけれど
大きい駅だけあって、方向は全く
逆方向だった。

「じゃあね、希ちゃん。
明日の朝忘れないでよ?」

彼は念を押しながら、残念そうな目
でこちらを見てきた。

家まで送ると言われたけれども、
さすがにそれはまずいと思い、
付いてくるならもう二度と口を
利かないと言うと大人しくなった。

「わっかてるってば。そう何度も
言われたら、嫌でも覚えちゃうわよ。」

私はそう言い残し、家へと急いだ。