恋愛至上主義

「じゃあ、僕、もう行きますね。
桐谷先生、またね?」

藤堂先生の言葉に返事するわけ
でもなく、彼は部屋を出て行った。

「あいつね、三ノ宮葵は、
親とうまくいってないだよね。
だからと言って、面倒を起こす
あけでもなく優秀なんだけど、
それが返って子供らしくない
と言うかなんと言うか。
だから、桐谷先生も注意して彼
のこと見ててほしいな。」

三ノ宮葵と呼ばれた彼が出て行った
方をみながら、藤堂先生は呟いた。

その時は、わけがわからず
『はい。』と答えるだけだった
けれども、後になってその
"子供らしくない"が分かった。