君には、絶対に…

今井さんの口から、睦の名前が出てくるだけで、胸が締め付けられる…。

それでも、学校以外で今井さんと話が出来ているこの時間が楽しくて、いつしか今井さんとたわいもない話で盛り上がっていた。

受話器越しに聞こえる今井さんの笑い声に、俺の頭の中で、今井さんの笑顔を重ねて、何だか幸せな気持ちになっていた。

でも、ふと睦の言葉が過ぎる。

“今井は洋介が誘えよ。”

遅かれ早かれ、いつかは祝勝会に誘わなければならない…。

一応、誘ってみたという事実が重要なわけで、誘わないというのは後々厄介なことになるから。

「あ、あのさぁ…今井さん、今週の日曜日って暇…?」

「え?何で?」

「実は、祝勝会をやろうってことになってさ、今井さんも誘おうって言ってるんだけど…どうする?」

話が一段落した時、俺は言いたくなかったけど、何とか言葉にして、今井さんに伝えた。

俺がそう言った途端、受話器から今井さんの声が聞こえなくなった…。