君には、絶対に…

「良いなぁ、帰宅部は。俺はこれから部活だよ~。」

俺が帰ろうとした先に睦が待っていたかのように話しかけてきた。

「悩み多き少年は、部活がなくても憂鬱だよ…。」

「はぁ~?」

睦があまりにも馬鹿にしたように笑っているから、俺はまた大きなため息が出た…。

悩んでいる内容が睦のことだと思っただけで、この笑顔がすごくむかつく。

「とりあえず、一緒に下まで行こうぜ。」

複雑な思いを抱いた俺と、悩みとは無縁そうな笑顔を見せる睦の2人で、ゆっくりと話しながら、下駄箱まで歩き出した。

下駄箱が見えるところまで来ると、そこには、まだ制服姿のままの将人が立っていた。

「あれ?今日も待っててくれたんか?」

いつもと同じような仏頂面ではあるけど、雰囲気がどことなく違うような感じがする。

ほんの一瞬だけど、将人の表情が少し複雑そうな表情にすら見えた…。