君には、絶対に…

「“諦めんなよ！！まだ何も始まってねぇだろ！？”って言ってくれたでしょ？あの言葉を思い出したらさ、すごく救われた。そうだよねって、まだ何も始まってないよねって思えたの。」

今井さんはさっきと変わらない声のトーンだったけど、真っ直ぐと遠くを見ながら話す様子を見ていて、どこか違うようにも感じる。

そんな今井さんを見ていたら、俺は考えるよりも先に言葉が出ていた。

「そうだよ、何も始まってないじゃん。これから頑張ってみようよ？俺に出来ることがあったら相談乗るしさ！」

「本当に？本当に相談とかしても良いの…？」

「当たり前じゃん！友達だろ！？応援するからさ、頑張ってみよう！ね？」

「うん！」

どこの世界に、自分の好きな人の恋を応援する馬鹿がいるんだよ…。

自分で言った言葉だけど、こんな言葉を無意識に言っている自分は本物の馬鹿だと思った…。

心の中で大きなため息をついていたけど、少し落ち込んだ感じだった今井さんが、あまりにも自然に、すごく可愛く笑うから、俺の頭から悩みは消えていた。