君には、絶対に…

『スパンッ!!』

そして、俺の放ったシュートは歯切れの良い音を鳴らしながら、リングを通過した。

俺は小さくガッツポーズをしながら、またディフェンスにつく。

44対42、残り40秒で逆転に成功し、相手のオフェンスが始まった。

当然の如く、相手は俺のところから攻めるべく、ボールを回してきた。

3Pを入れられない限り、逆転されることはないし、逆転されたとしても、残った時間でシュートを決めれば勝てる。

ただ、もし、延長にでもなったら、うちのチームは負けるだろう…。

延長戦を戦えるほどの余力なんて、うちのチームにはない…。

そう思った瞬間、気のせいかも知れないけど、俺の右足から痛みが消えた。

『パスンッ!!』

俺がディフェンスについている人にボールが飛んできていた。

次の瞬間、俺の体は気が付くと動いていて、そのボールを倒れ込みなら、何とかカットしていた。

もう周りの音も俺の耳には聞こえず、ただ高鳴る鼓動だけしか聞こえていなかった。

残り28秒で、またうちのチームのオフェンスになった。

24秒間、ボールをキープ出来るから、このまま行けば、ほぼ優勝は揺るがない。

圧倒的有利とも言える状況だけあって、睦はドリブルしながら、何とかボールをキープしていた。

残り15秒を切った瞬間、俺についていたディフェンスも、睦からボールを取るために動き出した。

俺は自分の前からディフェンスがいなくなったから、残りの力を振り絞って、3Pラインの外まで走り出した。

そして、3Pラインに着く寸前に、睦から苦し紛れのパスが来る。

普通なら、ここで将人にパスを出して、手堅く得点を決めて、勝負を決定付けるところだと思う。

でも、3Pラインの外に立って、振り返った瞬間、将人にパスを出したら、負けるような気がしたんだ。

だから、俺は3Pライン左斜め45°から、シュート体勢に入った。