君には、絶対に…

『ダム…ダム…ダム…。』

後半が始まって3分が経過した頃から、俺は自分の右足が、また少しずつ力が入らなくなってきているのを感じずにはいられなかった…。

前半は全く問題なかったのに、今になって、また足が震えてきていることがむかついていた。

試合が終わるまで保ってくれ!!

俺はコート内を必死に走り回りながら、そう願っていた…。

「洋介!!」

俺がコートの中央に来たところで、睦からのパスを受けた。

受けてすぐ、左側にワンフェイク入れて、右側から抜こうと振り返った瞬間だった…。

また右足に力が入らなくなって、その場に倒れ込みそうになる。

ここでファンブルしたら、簡単に相手に取られると思って、空いたスペースに走り込んできた睦の姿が見えたから、咄嗟に睦の走ってきた方向にボールを叩いた。

相手は俺が突っ込むとばかり思っていたようで、俺のパスには対応出来ず、睦がそのまま簡単にシュートを沈めた。

何とか繋げられた…。

頭でそう思っているのを他所に、心臓の鼓動は徐々に早くなり、右足はガクガクと震え始めているのが分かる…。

残り時間は4分を切った。

このまま行けば勝てるんだ。ここで、悪い流れを作るわけにはいかないんだ…!

そう思いながら、騙し騙しプレーをしようとしているところに、俺がディフェンスしている人が勢い良く切り込んでくる。

ま、まずい!!このままじゃ、抜かれる…!!

俺が焦って振り返ろうとした時には、もう相手はゴール下で、レイアップを楽々と決めていた…。